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VDSL方式が原因?VDSLの特徴と、光回線なのに回線速度が遅い場合の対策

VDSL方式が原因?VDSLの特徴と、光回線なのに回線速度が遅い場合の対策

自宅マンションのインターネット回線が「光回線なのに遅い」場合、原因として、光回線の配線方式が関係しているかもしれません。

 

具体的にいうと、3種類ある光回線の配線方式のうち「VDSL」という規格が使われている可能性があります。VDSLは、集合住宅で展開される光回線サービスの配線方式の一種です。

 

この記事では、光回線の配線方式や、VDSL方式についての基礎知識、VDSL方式が遅い場合の対策を紹介していきます。

 

光回線の配線方式は3つある

集合住宅で光回線を利用する場合、まずは、電柱からマンション全体の配線管理などをする共用部分(MDF室)まで光ケーブルをつなぎます。

 

そこから、各住戸までケーブルをつなぐことで、住民はインターネットが使えるようになります。各住戸までの配線方式は以下の3種類です。

  1. VDSL方式
  2. 光配線方式
  3. LAN配線方式

 

それぞれの特徴と特性、また、最大通信速度などについて紹介していきます。

 

ちなみに、最大通信速度は理論値によるものであり、また、各社が提供する回線サービスのプランや、使用するLANケーブルの規格によっても変動しますので、あくまで目安としてください。

 

VDSL方式

集合住宅で採用されている配線方式のひとつです。

 

この方式では、建物内の共用部分までは光ファイバーでつながれますが、共用部分から各住戸まではメタル線でつながれることになります。

 

途中で光ファイバーからメタル線に切り替わるため、各住戸へのインターネットはデジタル信号を使って提供されます。

 

VDSL方式の最大通信速度

ダウンロード 100Mbps
アップロード 100Mbps

VDSL方式は、光ファイバーで電柱から各住戸までつながれた純粋な光回線サービスではなく、メタル線とのハイブリッドです。

 

この方式は、集合住宅の配線方式で一番遅いものです。

 

築年数の古い集合住宅では、インターネットの回線にアナログ回線(アナログ信号によって通信する電話回線)を使用しているところもあります。

 

電話回線に比べて、光ファイバーケーブルは配線の変形に弱く、各住戸まで配線するのが難しい場合があります。

 

光ファイバーケーブルに負荷を与えないよう集合住宅のレイアウトを変更するには時間も費用もかかります。このような場合に、光配線ではなく従来のアナログ回線であるVDSL方式の配線を利用することがあります。

 

光配線方式

基地局から各住戸まですべて光ファイバーでつなぐ純粋な光回線サービスです。

 

戸建はすべてこの方式ですが、集合住宅の場合、比較的新しい物件で提供されています。

 

光配線方式の最大通信速度

ダウンロード 1~10Gbps
アップロード 1~10Gbps

高速の光回線サービスが期待できますが、集合住宅で利用できるかどうかは、建物の設備状況によります。

 

LAN配線方式

光ファイバーとLANケーブルを併用した配線方式で、集合住宅の一部で提供されています。

 

集合住宅の共用部分までは光ファイバーでつなぎ、そこから先の各住戸まではLANケーブルを使用します。

 

回線終端装置(ONU)を必要としないのが特徴で、壁にある差し込み口にLANケーブルをつなぐだけでインターネットを使うことができます。

 

LAN配線方式の最大通信速度

ダウンロード 100Mbps~1Gbps
アップロード 100Mbps~1Gbps

 

VDSL方式はどのようにつながっている?導入工事の手順

VDSL方式はどのように配線されているのでしょうか。工事の手順を解説していきます。

 

ステップ1:電柱からMDF室へ

まずは、光ファイバーを、外の電柱から集合住宅の「MDF室」と呼ばれる共用スペースに引き込みます。

 

集合住宅は住戸が複数あるので、建物内へ引き込む電話線やインターネット回線はどうしても増えてしまいます。それらを各住戸につなぐには、まず一カ所に包括して配線するのですが、その役割を担うのがMDF室にあるMDF(主配線盤)です。

 

ステップ2:MDF室の配線

引き込んだ光ファイバーを集合住宅内に配線するため、まずMDF室にあるPT盤(プレシミーズ・ターミネーション)と呼ばれる分配器につなぎます。

 

光ファイバーはPT盤つながれた後、集合型回線終端装置に配線され、LANケーブルでVDSL集合装置と接続し、最後にMDFまでをメタル線でつなぎます。

 

ステップ3:MDF室から各住戸へ

元々、光ファイバーで提供されていた光回線は、MDFからメタル線となり、各住戸まで配線されます。

 

この配線方式がVDSLであり、メタル線にデジタル信号を流して、データを送る方法となります。最後に、各住戸で、電話回線用のモジュラージャックを使ってVDSLモデム(宅内装置)を設置します。

 

ステップ4:各住戸内の配線

各住戸内に設置されたVDSLモデムは、有線でつなげる場合、LANケーブルでパソコンと接続し、インターネット回線へつなぐ役目を果たします。

 

また、VDSLモデムの無線LAN機能を利用して、スマホやパソコンのWi-Fi接続が可能です。無線LAN機能がないVDSLモデムも多くあり、その場合は市販の無線LANルーターをつなぎ、スマホやパソコンとWi-Fi接続を行います。

 

VDSL方式より光配線方式が優秀なポイント

光配線方式がVDSL方式より優れている点について紹介します。

 

光配線方式はVDSL方式より速い

VDSL方式における規格上の最大通信速度は100Mbpsで、光配線方式の最大通信速度は1~10Gbpsです。

 

理論値で計算して、速度が10以上違います。VDSL方式の通信速度が遅いのは、宅内共有スペース(MDF室)までは光回線でつないでも、その先の各住戸への配線がメタル線でつながれるためです。

 

光配線方式はPing値が低い

Ping値とは、インターネットにおいて、データ送受信までの反応速度を数値にしたもので、単位はms(ミリ秒)です。

 

送信されたデータが別のコンピューターに届いて、返ってくるまでの時間で測定しています。Ping値は低い方がよく、低ければ低いほど、インターネット回線が安定して快適となります。

 

ラグと呼ばれている部分の指標はPing値を参考にできます。光配線方式はPing値が低く、FPSや格闘、スポーツなど、コンマ0.1秒の操作が結果をわけるオンラインゲームなどでは重要なポイントです。

 

Ping値目安

VDSL:50~60ms

光配線:10~20ms

 

一般的に快適の目安となるPing値は20ms以内です。通信速度だけでなく、通信の安定性の面においても光配線の方が優れています。

 

関連記事:Pingの測定方法!オンラインゲーム/トレードに必要な目安や、速度を上げる方法も解説

 

光配線方式へ乗り換える方法

集合住宅全体の配線方式をVDSL方式から光配線方式に変更するには、大がかりな工事が必要です。

 

また、それに伴って、住民の同意をはじめ数々の手間や、多額の工事費用が求められます。

 

管理組合やオーナーの許可も必要

配線の変更のためには、分譲マンションの場合は管理組合に、賃貸の場合はオーナーに掛け合って住民やオーナーの賛同を得なければなりません。

 

その後、通信事業者へ問い合わせをして工事が可能か確認し、費用面での問題解決、施工までのスケジュールや問題点のすり合わせなど、やるべき課題が非常に多いです。

 

自分の契約タイプを変更する

難易度は高いですが、オーナーや管理組合の許可をもらって、戸建タイプの契約が結べる場合もあります。

 

この場合、独自に戸建タイプの光配線方式を申込み、電柱から自分の住戸に直接光ファイバーを引き込みます。工事で穴あけなどが必要な場合がありますので、オーナーや管理会社の許可が得られるか、一度相談してみるとよいでしょう。ただし、料金は戸建タイプとなり、集合住宅タイプより高くなります。

 

関連記事:光回線の利用には回線工事が必要!工事費用や確認するべきこととは?

 

VDSL方式が変更できない場合の対処法

上記のように、集合住宅の配線方式を変更するのは大変ハードルが高いものです。VDSL方式が変更できない場合の解決策を解説します。

 

IPoE方式(IPv4 over IPv6)で接続する

従来のVDSL方式では、回線が網終端装置(NTT東日本・西日本のフレッツ光網とプロバイダを接続している装置)を経由していました。

 

デジタルデータは、網終端装置を通ることでVDSL信号に変換され、ユーザーはインターネットを使えるようになります。ただし、多くのユーザーが網終端装置を経由する時間帯(夜など)には、インターネット回線が混み合い、遅くなりがちです。

 

一方、IPoE方式という新しい通信方法を利用した場合、上記の網終端装置を経由しません。従って、混雑時でも光回線本来のスピードを活かした通信環境が望めます。

 

IPoE方式を利用するには、契約するインターネットプロバイダが「IPv4 over IPv6」に対応しているか確認する必要があります。

 

ただし、インターネットプロバイダが「IPv4 over IPv6」に対応したIPoE方式を利用しても、VDSL方式の光回線では最大通信速度が100Mbpsなのは変わりません。これはVDSL方式が結局、メタル線を利用しているためです。IPoE方式はあくまで通信混雑を避け、通信を安定化させる接続方法だということを覚えておきましょう。

 

PC環境をアップグレードする

通信が遅いのは接続デバイスのパソコンが悪い可能性もあります。

 

パソコンのメモリが一杯の場合、動作が重たくなる原因になります。パソコンに空きのメモリスロットがあればメモリを増設するか、外付けHDDやUSBメモリで保存容量を増やし、容量を確保します。

 

ストレージを増やすときに合わせて不要なデータも整理しましょう。

 

また、LANケーブルやルーターが古い規格だと性能に限界があり、光回線の通信速度を充分に提供できません。4~5年前の機器であれば、新しい規格のものに買替える必要があります。

 

まとめ

光回線の配線方式は3種類あり、VDSLは一番遅い配線方式です。VDSLは電話回線を利用するため、光配線方式に比べて通信速度が遅くなってしまいます。

光配線方式 光ファイバーで接続 最大通信速度:1~10Gbps
LAN配線方式 光ファイバーとLANケーブルで接続 最大通信速度:100Mbps~1Gbps
VDSL方式 光ファイバーとメタル線で接続 最大通信速度:100Mbps

 

可能であれば、光配線方式の利用をおすすめします。また、IPoE方式を利用したサービスの乗り換えも検討するとよいでしょう。おすすめは、「ドコモ光 × OCN インターネット」です。「OCN インターネット」は、IPoE方式(IPv6 over IPv4)を無料で標準提供し、高速通信が可能です。

 

ぜひ、検討してみてください。

編集部

「gooネット回線についての総合情報サイト」の編集部です。 光回線やプロバイダ、Wi-Fiルーターなどネット回線にまつわる情報を幅広く発信しています。みなさまのお役に立てれば幸いです。